無添加食品の原材料表示にもたまに見かける「パーム油」。これってどんな油?安全なの?と思ったことはありませんか?
言葉としてはあまり馴染みのないパーム油ですが、実は日本人が1年間に食べるパーム油の量はおよそ4kgというデータがあります。
食品以外にも、洗剤や化粧品、歯磨き粉など様々なものに使用されており、日本人1人あたりの年間消費票は5kgにもなります。
パーム油とは?
パーム油は、アブラヤシの果実から得られる植物油です。他の植物油と違い、飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
パーム油の飽和脂肪酸は、常温だと固体になり、安価で安定性がよくとても便利な油です。
マーガリンなどのトランス脂肪酸を低減でき、揚げ油に使用するとサクッとした食感、また溶かして使うとトロッと滑らかな食感が得られることから加工食品への利用が世界的にも急上昇しています。主にスナック菓子やカップラーメン、チョコレートなどに多く使用されています。
原材料表示に「植物油脂」という表記を見かけたら、パーム油の可能性が高いでしょう。
トランス脂肪酸と飽和脂肪酸
トランス脂肪酸をご存知でしょうか?
自然界にも僅かに存在していますが、人工的に作られるトランス脂肪酸は、心疾患を高めることが分かり、アメリカなどで使用が禁止されています。
そのため食品メーカーは、マーガリンやショートニングなどの人工的トランス脂肪酸の使用を避けるために、パーム油に切り替えてきているようです。
しかし、パーム油に豊富に含まれる飽和脂肪酸を摂り過ぎると、血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが増加することが予想されています。米国農務省(USDA)は、パーム油はトランス脂肪酸の健康的な代替油脂にはならないとする研究報告を公表しています。
パーム油は危険?発がん性も?
パーム油は長期間の船上輸送による酸化を防ぐため、酸化防止剤としてBHA(ブチルヒドロキアニソール)という食品添加物が用いられています。
BHAは、1998年に食品衛生調査会でラットに対する発がん性を確認しています。
環境問題と社会問題
パーム油が世界中に普及するにつれ、環境的・社会的な問題も浮上してきています。
パーム油を大量生産するためには、アブラヤシを栽培するための広大な農園が必要です。アブラヤシは高温多湿の熱帯でしか育たないため、インドネシアやマレーシアを中心に熱帯雨林がものすごいスピードで伐採されています。
熱帯林を棲みかとする動物たちの生態も脅かされ、生物多様性の喪失という環境問題だけでなく、労働者の劣悪な環境や権利侵害など社会的な問題にもなっています。
まとめ
・主にスナック菓子やカップラーメン、チョコレートなどに多く使用されている。
・原材料表示には「植物油脂」という表記をされていることがほとんど。
・摂り過ぎると悪玉コレステロールや中性脂肪が増え健康リスクがある。
・発がん性や、環境・社会問題も。
あとがき
以上、「パーム油は体に悪い?どんな油なの?」でした。
健康に関することだけでなく、環境や社会的な問題も含んでいることがわかりました。
この記事が日々の健康や食生活に役立つものになれば嬉しいです。